■現実を見てみたかったから、行ってきた
なぜ行ったの?とよく聞かれる。原発反対や推進とやかくも机上の空論ではなく、まずは自分の目で実際見てから物事を考えたかった。ここは、世界でも本当に稀な原発が密集する地帯。全国50基の原子炉のうち14基が集中する。当然、狭い国土の日本なので近隣住民もいるはずで、どう原発と接しているか短い滞在時間だが、自分の肌で触れてみたかった。
福井県敦賀市の市街から車で15分程度。自分が思うに、世界で一番美しい原発だと思う。白砂の続く海岸(近くに水晶浜という名のビーチもある)、エメラルドブルーの海、古い松林、風光明媚とはこのことで、そんな自然物と対比するかのように人工的な原発が異様な雰囲気を醸しだていた。いや、むしろ、これでも調和が取れるようにデザインしたんだろうなと思う。
Googleマップでわかる通り、すぐ近くに小学校や中学校、果てはキャンプ場とかあったりする。現に、釣りをしている人、海水浴をしている人、たくさんいました。近くには漁協と漁港があったりもします。普通に生活に馴染んでいる。
対岸への橋の入り口からは制限区域、監視の人が目を光らせてました。
制限区域ギリギリの対岸に、関西電力PR館があり、美浜原発の紹介があります。全国の原発の近隣には、必ずと言っていいほど、こうした資料館やPR施設が存在します。いかに安全だかというPRに必死。
ちなみに美浜では、2004年に蒸気漏れで5名の死者を出す事故を起こしています。安全対策に徹底したPRも当然なされており、作業員ひとりひとりの手書きの誓いがあったりします。
近隣の漁港から撮影しました。丸い円筒が原子炉で、右から3号機、少し離れて2号機、一番左が1号機です。
漁港で近隣地図があったので撮影しました。よく見るとプラント関連の関係施設や関連会社もありつつも、旅館が目立つことも特色です。漁港で聞いた話によれば、観光で泊まる人はほぼおらず、関連会社が宿舎として使うケースが多いそうです。確かに前の晩、敦賀市で一泊しましたが、観光客少ない割には予約がいっぱいで、よくよく聞いてみると、やはり原発関連の定宿としてビジネスホテルを貸し切っているとか。
3号機のクローズアップ。円筒が原子炉建屋で、その下の縦長の建物が発電タービン室です。その横にクレーンが見えます。ここから核燃料や資材などの荷揚げをします。津波で騒がれている中、なぜどの原発も海の近くにあるかは、この理由もひとつの要因です。
■生活感あふれる原発
美浜を見て思ったのが、生活のすぐとなりにある原発だということ。恐ろしいイメージを抱いている方もいるのではないかと思いますが、ここでは生活にも直結しているし、地元民は、レジャーの場としてもとらえている。不自然さと違和感のなかに、自然の美しさを感じた原発です。
次回は、もんじゅと敦賀原発で。