最近、ありがたい事にブログを読んでいただいた数名から、「○○原発への行き方」や「なにを見るべきで、どうやって楽しむものなの?」など、お問い合わせいただくようになったのですが、さすがに返答が大変になってきたので、記事にしてみます。
テーマは、自己の責任において、ルールを守って正しく見学です。
■準備編
①「好奇心」と「探究心」が必須
精神論です。
知識なく行っても、観光地や絶景のように「すげー!」と思えるものでは決してないです。好奇心や探究心がないと、無為に終わってしまうだけかもしれません。
回りくどく例えれば、「花はなぜ鮮やかで美しいか?」「赤ちゃんはなぜ愛くるしいか?」を考えてみた経験があるだろうか。因果応報が必ずあるのであれば、花は昆虫をひきつけ、花粉を受粉させやすいため美しくあり、赤ちゃんは母性をくすぐり、親の保護を促すため愛くるしい表情をしているからと考えられている。
私の場合は、原発も同じであって、「なぜここに原発があるのだろう」、「どんなことが行われているのであろう」がベースで発展し、「ネットやマスコミの情報は本当に正しいのか」や、「何を見ればいいのだろうか」を考えるうち、机上の空論で語っても仕方ないし、実際、自分の目で見て感じて、判断するのが一番早いんじゃないだうかと。きっかけは人それぞれだと思うのですが、言わば興味がなければ、無視をしてしまえばいいのです。
無趣味な人がよく言うには、「知らなくても生きていける」、「ではあなたは今まで何回呼吸したか数えたか、それと一緒だ」と。全くその通りで反論できません。概ね「なぜ呼吸することで生きることができるのか」に興味を見い出せないだけで、悪いことではないかと。
ちなみに、私は反対派でもなく政治的思想も持ち合わせてありません。無関心と言われればそうかもしれません。ただ事実を知りたいだけ。それが興味です。
②場所決め
まず行きたい原発を決めます。個々の原発でも必ず特色があります。wikipediaで調べてもいいですし、近隣の原発でも、観光ついででもいいでしょう。wikipediaであれば、日本の原子力発電所一覧が便利。ただし地震で被害を受けた、福島第一、第二は色々と良くないので絶対避けてください。もう一つ被災地の女川はPR館も再開したので、welcomeと捉えていいかと。
③周辺について下調べをしておく
原発は、人口過疎地を選定されることが通常です。なので公共交通機関に難があることが多く、車で臨んだほうが無難です。敷地もやたら大きいです。
また近隣には発電所の説明が受けられるPR館が併設されていることが多いですが、必ずしもPR館から発電所がよく眺望できるわけではありません(大飯や高浜や志賀や刈羽柏崎など)。中にはカーナビでは案内してくれないケースがあります。また開館時間もチェックです。青森県の東通原発PR館など、年中無休ですが午後4時半で終了です。
さらに管理区域は立入禁止のため、どこに検問があるかも把握しておいたほうがいいです。googleマップで確認して、周囲の小道レベルまで把握します。スマートフォンなどを駆使し、現地で確認もいいでしょう。ストリートビューがあれば事前に周辺の把握しておくべきかと。
④その他の持ち物
必須のものは車以外ありません。PR館もほぼすべて入場料無料で予約不要です。必要に応じてカメラ、地方都市のホテル予約など。ガイガーカウンターは5,000円程度のものからあります。
■実践編
①PR館を訪れる
PR館は、どこも福島の事故以降は受付のお姉さんからして厳粛ムードです。過疎地ですし、社会科見学の学生でも居ない限りは、人がおらずシーンとしています。中には子供向けに玩具を揃えたプレイルームもあり、地元の親子連れで賑わっていたり、週末にはイベントをやっていたり(微かに)賑わっているPR館もありました。
展示内容は各電力会社にもよりますが、施設が大きく豪華なところ(玄海原発など)や、規模が小さく老朽化して寂れかかっているところ(刈羽柏崎など)など二分していますが、基本的には下記の流れです。
【い】国内の電力事情 →将来石油やばくね?
【ろ】発電の種類 →原子力って安パイじゃね?
【は】原子力とは? →超安全じゃね?
【に】放射能って? →自然界どこでもあるし!
【ほ】発電所紹介 →うちの発電所すごくね?
【へ】教訓 →過去事故(福島含む)の謝罪と対策
中には、科学館並みの最新技術を使用した展示(六ケ所村)など、十二分に金の匂いを感じてやまない施設もあったりします。原子力発電所のそもそもの仕組みだったり、原子炉の縮尺模型などなかなか参考になるのでけっこう見応えはあります。
②原発を眺める
前述のとおり、PR館から原子炉建屋をよく見学できる(浜岡や玄海)施設もあれば、全く見えない施設もあります。基本的には発電所内には入れません。電力会社が許可しない限り、どうやったって無理です。私有地のため、勝手に入ったのであれば不法侵入で捕まります。
各原発には専用の消防があるように、テロ以降は警察など専用の治安組織が整備されています。当然ながら敷地周辺ではフェンスで囲まれ、監視カメラが至る所に設置されています。怪しい動きをしていると職質されたりもします(何度かされました)。ただし、公道で交通ルールを順守した上で、敷地外から見る限りは、特に問題はありません(例外はありますが)。
特に反対運動が激しい原子力関連施設においては、警備員の食いつきも早く、すぐに飛んできます。反対派ではなく、怪しいことをせずにルール遵守している上で眺めていることを伝えれば、大抵誤解する行動は慎むよう注意される程度です。
※念のために言いますがここらへんシビアなので助長しているわけではないです
例えば、刈羽柏崎原発の場合、PR館(A)からは眺望不可、正門(B)からの撮影も不可能です。かと言って大抵原発は小高い丘の上に立地し、周りを森林で囲まれているので、建屋を目視することはできません。おすすめなのは、原発は冷却水を取水するため、海に面しているので、原発の両サイド海岸線ギリギリまで出て見学(海岸線CとD)することです。
③周囲を観察する
なにも見学できるのは建屋だけではありません。電源三法や電力会社の資金流入で周辺自治体はお金を持っているケースが多いです。合理化の上の平成の大合併をくぐり抜けてなお、「字」や「村」の単位で存続している場合があります。要は、不況であれ合併しなくても潤っているぞ、ということ。
自治体に入ったとたんに、立派な橋や道路の車線数が増えたり、箱モノ(立派な体育館が目立つ)や、温泉施設(温泉地でないのに必ず原発の近くにはあり結構地元から人気)が目に止まったりしてきます。
また原発ならではの施設も多いです。原発に問題があった時に、防災司令所として機能するオフサイトセンターがあったり(原発から近すぎて意味ないと叩かれまくってます)、定期的に放射線を計測するモニタリングポストがあったりします。
また、地元のwelcome度合いも街に反映されています。交通標識に「発電所」や「原電」と濁して書くか、ストレートに「原子力発電所」「原発」と書くかでも地元感情が出ているように思えます。なので、地元住民に話を聞くのはシビアなところです。中には、マスコミのように、いきなり訪れていきなりインタビューされるのを嫌がる方もいるでしょう。一番良いのは、観光案内所やおみやげ屋でさり気なく聞いてみるところから入ってみる、というのが無難です。
観察してみてください。よく見れば見るほど普段住んでいる街とは違うのですから。
④復習する

原発を見てどう思ったかは人それぞれです。それを強制する手段はありません。ただ「楽しみ方」として自分が訪れた原発を追調査してみるものがあります。自分が行った原発の名前をYouTubeで検索してみてください。必ず何件もヒットします。それだけ問題をかかえています。そして、既に訪問しているのであるから、より現場の空気感を把握できるはずですから、以前よりは少なからず興味や感情移入してその動画や、問題全体が見渡せるかと思います。